トロントを終えることは、オヌールとの別れも意味していて、心がとても痛かった。
ママとよっちゃんとトロント2日目に、Bluesバーに行ったことがある。
その時に、二人が泣き出した。

「ほんとにオヌールと別れてもいいの?すごく悲しいね?」
ママは号泣して、
よっちゃんはもらい泣きをしていた。
2人はやさしいオヌールを気に入っていた。
当本人の私は、冷静・・とても好きだったけど、別れるのが丁度良いと知っていた。
私は何かとジェラシーを感じる時があって、それをオヌールに見せると 煙たがられた。
オヌールは、彼女がいても女の子と旅行やデートをできる人で、そこに悪気はなかった。
あまりに、あっけらかんとしているので、一瞬わたしが理解すればいい話し?と思ったりもしたけれど、感情ってそんなに単純なものじゃない。
私が彼を理解できないように、彼は、私が嫌だと思う気持ちを理解できない。
文化、考え方が違うから、もうしょうがないのだ。
この件に関しては、彼とよく話し結果こうなった。
「わたしは、あなたの彼女でいるには真面目すぎるのだと思う。
私はジェラシーばかりで、遠距離になったら自分がもっと悲しむのが想像できる。」
「Eikoは、ぼくのこと忘れたほうが幸せだ。悲しまないようにその準備をしよう。」

彼の気持ちはよく見えなかったけど、それは最初からずっとで
自分ばかり好きみたいな感じだった。
同時期、彼には韓国にも彼女がいることや、結婚した過去があったことを知った。
あなたの為に私の将来を無駄にしたくないと思った。
友達に戻ろうと二人で決めた。
でも、理性と感情は別の方を向き、複雑だった。

ナイアガラの滝から戻った夜が、トロント最後の夜だった。
オヌールが、
「ママとよっちゃんは全然トロントを見ていないから、トロントの夜を案内してあげよう」
と言ってくれた。

私自信も、仕事が毎晩あったので、トロントの夜はそんなに知らなくてわくわくした。
特に、湖やトロントアイランドが見えるハーバーフロントは昼間でも行った事なかったので連れて行ってくれた。
こんなところがあったのか・・昼間にも来てみたかったな。
そういえば、たとえば彼と。コーヒー屋での勉強じゃない、外でのデートもしてみたかったな。
次の日、朝の早いフライト。持って帰る物が増えて、2つもスーツケース買い足してすごい荷物になった。
オヌールは荷物持ちとして手伝ってくれて、空港まで来てくれた。男の力があって、すごく助かった。
ヒュンジも、最後の挨拶をしに会いに来てくれた。

同じアジアだし、すぐまた会えるね。2人でそう思ってバイバイした。

空港に向かう道。ぼんやり窓からトロントの景色を見送った。
ここに降り立った日のこと、ホームステイ、職探し、シェアハウス、ドーナツ屋、ゲストハウス、語学学校のこといろいろ思い出していた。

空港に着いた時、さすがにほんとにほんとに悲しくなった。
やはり彼が好きだったので。
忘れるってどうやって・・?
別れた後に自分が落ち込んでしまわないか不安なほど悲しかった。
でも、最後の最後だけは良い顔をして別れて、いい思い出にしたいと思った。

バイバイ。
蝉のように始まった恋は、蝉のように果敢なく終わった。
でも、つきあっていた期間は、とても特別な思いができたと思っている。
オヌールとつきあうまで、7年間付き合った人がいなかった。
7年前につきあっていた彼と別れた時に、天にものぼる幸福を感じてしまったことが大きくて、その後ずっと
彼氏がいるということがいいものなのか、何のために必要なのか、分からなかったから。
でも、トロントで出会った外国人によく言われた。
考える必要ない、好きだと思ったなら、抱きしめたいと思ったなら、それを言ったり、実行すればいいだけ。
もっと楽しんで。元カレが全部の男と同じだと思うな!扉を締めないでEIKO!!
オヌールが彼氏としてどうだったのかも、つきあってみないと分からなかった。
結果どうであれ、恋人がいるというのもいいもんじゃないか?!という恋愛スイッチが30歳になり入ったと思った。
トロントの生活は、日本でいる時よりも積極的にならないと生きていけなかった。
ワーホリという1年は早くて、すぐに過ぎて行く。何もしなくても、過ぎて行く。
でも、何もしないともっと辛かっただろうと思う。

日本に帰国した。
日本はいいなと思った。
自分の場合は、とても守られてる。
身近にすごく心を通わせられる家族も友達もいて。
ぼんやり特別な事をしてなくても楽しい。日本料理が半端なくおいしい。
1週間もたった頃には、トロントが1ヶ月前のことのように思えた。
19歳の時から海外に住んでみたいと思っていた。
ワーホリ制度が使える30歳ぎりぎりになって、もう行かなきゃ!と思った。
勉強も仕事もできるワーホリという制度、素晴らしいと思う。ほんとに行ってよかった。
人によって、色々な1年があるんだろうなと思う。
もし迷っている人がいたら、絶対行った方がいいと思う。
大変だけど、自分次第で楽しみも待ってる!
トロント日記はこれにて終わります。
長い間、読んでくれてありがとうございました。
次は、ヨーロッパ旅行記を書き始めます。