フェスのことを細かく書きます。
このフェスは、世界4大アニメーションフェスの1つ
他は、アヌシー(フランス)、ザグレブ(クロアチア)、広島(日本)です。
オタワフェスは、年に1度の開催です。
世界中からたくさんの作品が集まるコンペティション、
今年は過去最高らしく応募数が2300作品を超えたみたいです!
さて、こう書くとすごく盛り上がってるんだろうな、人がすごいんだろうな
と思う人もいると思うのですが
実際とてもこじんまりとしています。
上映前に列に並ぶ必要も、遅れて席が無くなることもありませんでした。
アニメーション作家もファンも境なく、話したければ気楽に話せます。
このこじんまりした雰囲気が好きです。
フェスは水曜日〜日曜日の5日間ですが、私は金曜日から3日間参加しました。
そんな私にぴったりなウィークエンドパス(金・土・日)105ドル
というのがあって勿論そちらを購入。パスがあれば見放題です。
他に券は、5日間パス(220ドル)、1日パス(55ドル)、6回券(60ドル)、1回券(12ドル)です。
上映会場となっていたのは4カ所
どこも歩いて15分範囲にあります。が、私としてはこれはけっこう大変だった!
広島フェスは、1つの建物内で行われるので、プログラムがぎちぎちに詰まっていてもすぐに移動できるけれど
オタワはそうは行かず、常に皆早歩き。
それはいいとして場所に慣れるまで、会場がどこなのか分からなかった!
ガイドブックはしっかり作ってあるのに、地図をフェス専用に作ってないんです。
最初は住所を頼りに人に聞いたりして映画館を探した。
映画館を探せゲームみたいでした。
きょろきょろ道に迷ったおかげで観光になってたと思います。
6時間以上アニメーションを見続けるので、歩く時間は脳のリフレッシュになっていたかも。
オタワは道がきれいで景色がよくて、歩いててすごく気持ちのいい街でした。
運河や川があるっていいな〜と思った。
写真左側にある建物「National Arts of Canada」
開会式や閉会式含め、フェス中メインで使われていた会場です。
到着した日は雨、どよんとしてます。
こちらも会場の1つ「National Garaly of Canada」
ピカソ展、ゴッホ展をやるような大きな美術館です。
雲の下の蜘蛛。
六本木ヒルズにもある巨大蜘蛛オブジェMaman。ここにもいました。
美術館内にあるビュッフェ形式のカフェがよかった。
だいたい美術館の食事処って高い値段設定だと思うのですが、とてもリーズナブル
なのに人が全然いなくて静か。
サラダバー 350ドルくらい。
ぼんやりプログラムを眺めながら休憩しました。
そうそう、今年のフェスのポスターはアニメーション作家の山村浩二さんが手掛けています。
なのでガイドブックの表紙も彼の絵ですよー。

大きい窓から見える、お庭。
赤いレインコートのカップルもデザインの1部みたい。
ここは大通り
右側にあるデパート内の映画館「Empire Rideau」
席数が多いのでコンペティション作品の上映はここが多かったです。
ファインディング・ニモ 3Dとかやってる普通の映画館です。
その近くの小道を入ったところ
「Arts Court」
ここは主に学生作品上映、トークショーやイブニングパーティー
他よりもリラックスしたイベント用でした。
建物内にはギャラリーとアトリエ部屋がたくさん
美術学生の作品展などもやっていました。
以上4つが会場でした。
私が見たのは主にコンペティション作品です。
印象に残った作品を書いておきます。
1.SUNNY AFTERNOON/Thomas Renoldner(Austria)
作家(おじさん)のセルフポートレート。
自分が椅子に座ろうとするまでの駒をプレビューさせてたり、自分の顔を画面いっぱいのアップにしたり。
連鎖のリズムや間がおかしくて会場中から大きな笑いが。
うらやましいくらい自由に遊んでるピクシレーション。作家さん変人だなぁと思った。
2.KALI THE LITTLE VAMPIRE/Regina Pessoa(NFB of Canada)

人間の仲間に入れてもらえないヴァンパイヤ。することなすこと裏目に出てしまう。
こういうのに弱い、うるっとした。木版画みたいなタッチのグラフィックが素敵。
でもデジタルで絵を描いて35ミリフィルムで撮影してるとか、どういうこと?
たしか過去にアヌシーフェスでグランプリを得ってた作家さん。
3.ARTCIRCLES'VAN GOGH TO POTHKO IN 30 SECONDS'/Micheal Langan(USA)
額縁の中の絵が変化していくのが見事だった。あまり覚えてないけどタイトルの横に自分が花丸つけていたので。
4.TRAM/Michaela Pavatova(Czech Republic)

大好き!Repeteで有名になったチェコの作家。日常のルーティーン、今回はトラムの女性運転手が主人公。
切符、ハンドル、乗客までおちんちんになっちゃって愉快。そんな妄想をして興奮している女運転手の描写が面白い。
Michaelaの作る独特なリズムで、エロいけどスマートでした。
5.THE PUB/Joseph Pierce(UK)

この作家さんの技術が好き。
実写に載せて絵を描いてると思うのですが、ここまで特徴的に人間を変形させてくれると気持ち悪くていい。
目のシワが木になっちゃったりするのだけど、現実的に納得がいくのですごい。
6.LAY BARE/Paul Bush
オスカーワイルドの言葉「To me beauty is the wonder of wonders. It is only shallow people who do not judge by appearances. The true mystery of the world is the visible not the invisible」
を元にした作品。
500人のほくろ、シワ、目鼻の写真を連続させたアニメーション!
人間の持つ部分の中でおへその形が一番違うね。
音楽が最高。今まで見てきたピクシレーションの中で特に好みです。
7.CHOROS

実写のアニメーション。1人のダンサーから生まれる人の動きの合唱!
人間の体と動きってこんなにきれいなんだ..
8.DREAMS/Keiichi Tanaami & Nobuyuki Aihara(Japan)

相原先生!久しぶりに見ましたが、こういうフェスの中でさえ異様を放っています。
先生、天国でますますパッパラパーになって楽しんでる姿が想像できる。
作品は、70歳近い二人が作ってる作品だと誰が想像できるか!って感じに思いました。
9.STICK UP FOR YOUR FRIENDS/Anthony Dusko(USA)

ダンス可愛いーーーーー ミミミミミミ!
10.THANK YOU/Pendleton Ward & Thomas Herpich(USA)

スノーマンが火のキツネを飼う話し。世話をしてるうちに、スノーマン溶けちゃってますよ。。
当たり前のように指に顔が出てきて、キツネをあやしてるシーン大好き。
教育TVで見れそうな絵とキャラクターなんだけど、子供も大人もショッキングなアイデアが
いっぱい詰まってて楽しかった。これはもう一回見たい!
11.EL DELIRIO DEL PEZ LEON/Quique Rivera(USA)
深海のギャングの話し。深海の空気感ばっちり出てて、手下の海老が情けなくてよかった。
12.TSIKID TEEL/Helen Unt (Estonia)
今回一番好きだった作品!
すごいシュールで笑いましたが説明ができないです。すみません。
さすがエストニア。プリート・パルンの生徒さんらしいです。
13.SEWING WOMAN/Jin Woo(South Korea)
永遠に上から落ちてくる何か(多分、人間)を縫い続ける女。
なかなか暗くて恐いですが、縫うときの伸びた手の描き方が妙に美しくて印象に残りました。
14.FROM DAD TO SON/Buks Jbibkuch(Germany)
刑務所にいる息子と農家で1人暮らす年老いた父の物語。
かわいいキャラクターの立体切り絵と、
息子のお父さんを気遣ったアイデアがほっこりするエンディング。
15.GUM/Noam Sussman(Canada)
妊娠した女性がガムの赤ちゃんを生むんだけれど、そのガムが膨らんで破裂しちゃう。
医者が、鼻にこびりついていた赤ちゃんの破片(ガム)を食べると女性がNO~~~~!
と涙の悲鳴をあげる。たった1分の作品。面白い、音楽もよかった。
16.KARA NO TAMAGO/Ryo Okawara(Japan)
鶏農家に住む1つの家族。父、母、僕、妹の秘密がエピソードになって進むアニメーション。
どの秘密もとてもマニアックでおもしろい。日本的な絵と色合いが素敵だと思った。
17.I AM TOM MOODY/Ainslie Henderson(UK)
最近のパペットの演技力はすごいなぁと思う。。
ステージで緊張してしまうシンガーのTOMが子供の頃の自分を思い起こす。
子供のTOMと大人のTOM、キャラクターがすっごいよくできてて
ナーバスになっている時の演技が絶妙、おもしろかった。
18.JUNK YARD/Hisko Hulsing(Belgium)

麻薬と殺人、友達の裏切りの話し。
元々親友だった少年二人の成長を追うストーリー。
彼らは遊んでる途中で知ったJunk yardをきっかけに、麻薬や盗みの世界を知ります。
その後それぞれ違った思春期を過ごすのだけど、数十年後にある理由で相手を殺す事になってしまいます。
現実に存在するだろうストーリーで、とても悲しくて恐かったです。
アニメーションでこんなに心がぞわぞわと、目を背けたくなったのは"火垂るの墓"以来のような。
見るのは1回でいいなぁと思ったこの作品が、なんとフェスのグランプリでした。
そんな訳で、もう一回見るはめになりました。(受賞作品は閉会式の後に全部上映される)
余韻で、宿泊場所まで帰る道が恐かった。そんな影響力のあった作品。
コンペは1プログラム分(14作品)見逃してしまったのが心残り。
特別上映の「BARRY PURVES:THE PUPPET MATER」よかったです!
パペットアニメーションとして有名な作家。
歌舞伎のは前に見た事あったけど、いやすごいよ!って感じでした。
照明やら舞台装置やらこれは元々舞台人じゃなきゃできない作品だなーと思う。
パペットの動きなめらか、NEXTに出てくるパペットが最初人間だと思った。
マイムトウの人とか見ると楽しいかと、
BARRY PURVESで検索を!「NEXT」 と「SCREEN PLAY」がおすすめです。(ネット上で動画探せます)
オタワアニメーションフェスの閉会式は、広島フェス程盛り上がらないなぁと感じました。
コメディアンみたいな二人が度々出て来てにぎやかしたり、司会者が笑いをとったり
観客もどんどん発言してファミリアな感じがあるのあだけど
なんと言うかコンペティションとして、受賞作品を発表する時の緊張感があまりなかったです。
カナダのゆるい雰囲気がフェスにも出てるなぁて印象でした。
フェスを開催するオタワの人たち、街もすーごくいいところだった。
フェスがない時でも、また行きたいなーとほんと思います。
次の記事は、オタワ観光編へ。
Trip advisorのオタワ情報
